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神が「彼」にこう告げた。
「お前は人を愛してはいけない。お前もその人も不幸になるから」と。
愛し愛されるからこそ、人は生きていける。
彼は苦悩し、それでも愛に生きようとした。
そして、その残酷な啓示から4ヶ月後、啓示の正しさが証明された。
当時「彼」がもっとも愛していた女性によって。
しかも、考えうる限り、もっとも残酷な方法で。
「彼」に「そんな神様は贋者に決まってる。信じちゃいけない」と説いた者によって。
その者自身が、神の啓示の正しさを証明してみせた。

希望。
それは誰もが等しく持つ事が許される唯一のもの。
富める者も貧しい者も、死者さえも持つ事が許されるもの。
その希望を、「彼」は奪われた。

「僕は神様に嫌われた人間だ。
この世界のどこにも、僕を祝福してくれる場所はない。
ただ……せめて……どうして神様に嫌われたのか……理由くらい、知りたかったなぁ。
何にも悪い事をした覚えはないし……。
ただ、普通に生きていたかっただけ。
どこにでも転がっている、持っていても誰もうらやましがったりなんかしない、
小さな小さな幸せが欲しかっただけなんだ。
僕は、小石ほどの価値しかない小さな幸せさえも、抱く事は許されなかった――」




…っていう人が仮にいるとしたら、理解できるかい?
理解できない?
まぁ、そうだろうね。
いや、いいんだよ、理解できなくて。
こんなの理解できる人間なんて、世界のどこにもいなくてもいいんだ。
理解できると言う事は、同じ苦しみを体験しているって事だからね。
そんな人間、誰もいなくていいんだ。
そんな事より君はどうしたの?
なんだか泣いた後みたいだね?
そんなに目を赤く腫らして、どうしたと言うんだい?
悲しい思いをしたのなら、そんなもの、全部この僕に預けていけ。
君がそんな思いをする必要はない。
そんなもの、この僕が全部もらっていってやる。
世界中のすべての悲しみを、ぼくが全部もらってやる。
そうすれば、世界から悲しみはなくなる。
ぼくのような人間は、ぼく以外に必要ない。
悲しみを背負う人間は、ひとりいれば十分なんだ。

…この町はあまり空気がよくない。
ここに長くとどまっていては、気分は悪くなるばかりだ。
もう少し、空気のいい場所がいい。
さて、次はどこに行こうか……。
どこで生きていても、いつ死んでもいいんだから、ある意味気楽な人生だよね。




これは、そんな一個の生命の物語だ。
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