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今回説明させていただくのは、作品の完成度、面白さを決定づけると言っても過言ではない要素のひとつ、「伏線」の意義と取扱いについてです。
「伏線」を「フラグ」という事もありますが、ここでは主にフラグ(=物語の分岐点において、結末を決定づける行動や言動)の事ではなく、作品の随所で描写される、物語の謎を解くカギになる行動や言動、現象という意味での伏線についての話をします。

伏線には明示されるものと暗示されるものの2種類があり、それぞれ役割や効果が異なります。

◆明示される伏線
誰が見ても「これは何かある」と分かる伏線。シナリオの導入などでよく用いられ、その先の展開が簡単にはいかない事を予感させたり、後に語られる真相の裏付けになったりします。

「ドラゴンクエストV」における明示伏線
ゲーム冒頭で主人公が産まれた日の夢の内容が描写され、主人公の出生の秘密を解くカギとなる伏線となります。この例に限らず、夢の描写は過去の事実や未来の予知、本人の願望、誰かの危機を知らせる虫の知らせなどを表しているのが一般的で、物語後半の真相が明らかになる段階で、真相の裏付けとなります。

FPLにおける明示伏線
ゲーム冒頭で空が暗くなるシーンが入るほか、「最近地震が多い」などという噂をランドの各地で聞く事ができ、将来的に何か重大事件が起こる事を予感させる役割を持っています。


基本的に明示される伏線は「最初からすべてを明かすわけにはいかないが、気づいてくれないと困るヒント」を描写するために用いられます。
伏線は気づいてもらえなければ全く意味がありません。
特に見つけてもらわないと困るこのタイプの伏線は、探さないと見つからないような、分かりにくい伏線にならないように注意しておきましょう。

◆暗示される伏線
なにげない一言やさりげなく配置されているものなどに隠されていて、よく注意していないと気付かないような伏線。
主に以下の2つの目的で用いられます。

①物語終盤、真相のすべてが明かされる段階で裏付けがなされ、プレイヤーの意表を突き、驚かせたりする
②物語の世界観などをさりげなく説明する。伏線に気づけばより詳細にその世界の事が分かるようになるが、基本的には気づかなくてもとくに問題がないものが多い

また作品によっては、このタイプの伏線に気付いていないと、結末が変化してしまう(たいていはバッドルート)、フラグとしての用途もあります。
この手の伏線は制作者にとって意図的に隠されているため非常に分かりにくく、謎が解けた時の驚きと感動を増幅させる効果があります。
暗示伏線の示し方にも複数の方法があり、制作者は好みの方法で伏線を張って下さい。

①設定が暗示伏線になっているパターン
主人公の出生や特殊能力、町の名前など、設定自体が伏線になっているパターンです。

ドラゴンクエストVIIIにおける暗示伏線
主人公には、いかなる呪いも跳ね返す特殊能力があります。この能力が、主人公の出生の秘密を覆い隠す伏線になっています。

②事象が暗示伏線になっているパターン
シナリオメイキング講座でこのパターンの伏線を説明する時に、私が必ず例として話をするのが、切り株です。
マップ制作に深い考えがないと、後々困る事になる可能性があります。
森のマップを制作する場合、切り株の扱いには注意しなければなりません。
なぜなら切り株は、自然発生する事は100%ありえないものだからです。
切り株が存在するという事は、そこに人間または人間並の知能を持つ生物が存在しているという証明になります。
という事は、仮にその場所が「もう何年も何十年も人の姿を目撃した事がない」という設定の魔境などだった場合、切り株の存在は設定と矛盾するという事になります。
このようなタイプの伏線は非常に分かりづらく、下手をすると、制作者自身でさえ理解していない場合もあります。
第3回の時代考証の話にも通じてくるのですが、つじつまの合う物語作りをするために重要なのは、とにかく「考える」事。これにつきます。
このようななにげないオブジェクトのひとつを配置するのにさえも、理由というものは必要なのです。
ましてプレイヤーは、制作者とは違う人間です。いかなる角度から疑問をぶつけられるか分かりません。
制作者がまったく意図していなかった角度から、疑問を投げかけられることも少なくないのです。
ですから制作者は、どんなプレイヤーよりも「考え」なくてはなりません。
プレイヤーから投げかけられるのではないかと思われる疑問を予想し、どのような疑問をぶつけられても、すぐに答えられるように。
細かいなと思われるかも知れませんが、制作にこのような細やかな配慮をする事は、プレイヤーの制作者や作品に対する信頼を厚くし、ひいては作品全体への評価も上がる事につながります。

③立ち振る舞いが伏線になっているパターン
よく注意していないと見逃してしまいかねない微妙な立ち振る舞いや、何げない一言などが伏線になっていて、物語を読み解く重要なカギになっているパターンです。
②同様、結末と矛盾した伏線にならないよう注意しておく必要があります。

「ドラゴンクエストV」における暗示伏線
トロッコ洞窟の奥で出会うひとりの男。「かれこれ20年以上は回っていたでしょうか」自分の事を天空人だと名乗る怪しい男。いくら天空人といえども、20年も飲まず食わずで生きていられる人間がいるわけなく……。
このタイプの伏線の典型例と言えます。

FPLにおける、このタイプの暗示伏線
物語の随所にみられる、ノアが「身勝手な人間」を嫌悪する姿。それはどうやら、ノアの過去に何か関係があるようだが……。
これもまた、このタイプの暗示伏線と言えます。


◆暗示伏線の取り扱いに関する注意点
暗示伏線は作品の面白さに関わる重要な要素ですが、伏線を張るにあたって、守らなければならない約束事が2つあります。
まずは、「伏線の発見をクリア条件にしない」という事。
前述のとおり、暗示伏線はプレイヤーにより大きな感動と、そしてさわやかな驚きを与えるために張るもので、そのため、制作者が意図的にその正体を見えにくくしているものです。
つまり、ストーリーの途中で、伏線に気付くプレイヤーは少ないのです。
それに気付かないとクリアできないというのは制作者のエゴですし、何より伏線の本来の意義と違います。
伏線は、設定や世界観、物語の裏事情などをより深く説明したり、最後まで解けなかった謎の種明かしをしたりするために使用すべきものです。
伏線に気付くかでどうかでエンディングが変化するマルチエンドタイプの物語なら話は別ですが(グッドかバッドかはおいといて、とにかくエンディングにはたどり着けるわけですから)、そうでなければ、伏線をクリア条件にするのはいい物語とは言えません。
そしてもうひとつは、「張った伏線は必ず回収する」という事。
「回収する」とは、物語の途上で用意した伏線の種明かしをし、今までに語られることのなかった謎をプレイヤーに納得させる事を言います。
何度も述べているように、伏線を用意しておく事で、プレイヤーにより大きな驚きを与える事が出来ます。
ただし、伏線を張れば張るほど、隠された謎は複雑になります
むやみに伏線を張りすぎると、以前に張った伏線との矛盾が生じたり、回収し忘れる伏線が出てきたりするおそれがあります。
張った伏線はエンディングまでにすべて回収し、プレイヤーに一切の疑問を残させないのが鉄則です(少なくとも、ストーリーに直接関連するものに関しては)。
最後まで明らかにならなかった謎があると、プレイヤーの心の中にすっきりしないものが残り、さわやかな感動がなくなってしまいます。
制作者自身が管理しきれなくなるほど、複雑な伏線を張るのは厳禁です。

◆伏線を回収しない例外
上の項で、「張った伏線はすべて回収しなければならない」と述べましたが、あえて伏線を回収しないままにしておく例外もあります。
この手法は、主に以下の理由で用いられます。

①プレイヤーの想像に任せる
重要人物の生死などによく使われる手法で、あえて具体的な描写をせず、プレイヤーの想像に委ねる方法です。
プレイヤーがどのような想像をしても、物語の進行には影響がないようにするのが原則です。

②続編が存在する
別のキャンペーンシナリオや別の作品で再登場するなど、その場で完結せず、物語に続きが存在する場合に、次のシナリオに伏線の回収を持ち越すため、伏線を回収しないケースです。
回収しないどころか、より複雑な伏線が張られ、次のシナリオの導入として用いられる事も少なくありません。

上記のような特別な意図もなく、回収しない伏線は基本的にNGです。
張った伏線をなかった事にしてしまう無責任な行為も厳禁です。
では、伏線の回収漏れや、伏線を張りすぎて収拾が付かなくなってしまうなどの事態を防ぐにはどうしたらいいか?
それは、今までの講座でも述べてきたように、「とにかく壮大な物語」と大ざっぱに考えるのではなく、世界観や登場人物の性格や行動パターンなどを具体的に決めておき、論理的に思考する事です。
こうした設定を具体的に決めてあれば、「この展開になったらこのキャラクターはこう動く」「城の兵士Aは怠け者という設定だから、深夜2時頃には必ず居眠りをしている」……という具合に、論理的に物語を作っていく事ができます。
そうすれば、どのような情報をプレイヤーに与えられるか、どのような伏線を張るべきか、どのような伏線なら設定と矛盾しないか……というのが分かるはずなのです。
ですから、設定資料は必ず作成しておき、自分がどのような伏線を用意したかなども、一緒に資料にまとめておく事をお勧めします。

FPLにおける、裏設定の活用法
Cブロックにおいて、主人公たちを待っている人物がいますが、彼らは時間が経つといなくなってしまいます。それは、背後に重大な事件が迫っていて、彼らにも時間が残されていないからなのですが……この情報がプレイヤーに明示される事はありません。しかしこれにより、刻一刻と時間は経過しており、状況は変化しているという事を、プレイヤーに伏線として提示しています。重要なのは、このように具体的に動機や理由を決め、論理的に思考する事です。
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