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さて、今回は作品を作る時になにげに重要な、そして意外に軽視している人も多い「時代考証」についての話です。

RPGは基本的にフィクションですし、たいていは魔法が存在する世界ですから、少しくらいのムチャや反則は許されます。
とはいえ、ある程度の節度というものは必要で、特に実際の世界の時代背景に酷似した設定を「借りている」だけの場合、実際のその時代の事をよく知っておく事が必要です。そうでなければ、本来その時代にはありえなかったものが存在するような、おかしな世界ができあがってしまいます。
例えば、RPGでもっとも採り上げられるのは「中世期のヨーロッパに酷似した世界」です。これに、多種多様の魔法やモンスターを加えたものが、RPGで最も多く題材にされます。
ただし、深みのある「中世期のヨーロッパに酷似した世界」を作るためには、「実際の中世期のヨーロッパ」を知っておく事が不可欠です。
この頃のヨーロッパの時代背景や文化などを大雑把に挙げると、だいたい以下のようになります。

○「中世」とはだいたい5世紀~15世紀頃のヨーロッパ社会の事を指し、これ以降は「近世」、これ以前は「古代」と呼ばれる。ゲームの題材として使われるのは、10~12世紀頃の中世のイメージが多い。
○封建制。主君と臣下、親と子などの上下関係がきわめて強い。
○国は王国が主流、市民による共和国などほぼ存在しない。ただし絶対王政期ではないので、そこまで国王の独裁という感じでもない。また国王とは別に、宗教組織(実際の西洋だともちろんキリスト教ですね)の最高指導者である教皇(法王)が存在する。ただし教皇の発言権やパワーはカノッサの屈辱からアヴィニョン捕囚まであり、時代によって一定しない。
○階級は王族、貴族(諸侯)、市民、奴隷となっているのが一般的。
○平均寿命は男性は短めで、女性はやや長い(この頃は十字軍など戦争が多く、男性は戦死してしまう為平均寿命が短い)。
○上・下水道などが完備している国はわずか。これが実現できているような国は、相当の国力である事を意味します。
○火器は未発達。あってもせいぜい火薬や簡易的な火縄銃が存在するのみ(火薬でさえ開発されたのがルネサンス期である事を考えると、火縄銃はほぼアウトでしょう)。
また、銃火器が中世ファンタジー世界に存在するのに都合がよくないもうひとつの理由として、射程距離の問題があります。弓矢などの遠距離攻撃専門武器は、その大半が魔法よりも射程距離が長く、遠くの敵でも倒す事ができます。
画期的な遠距離攻撃武器である銃火器などが存在してしまうと、せっかく剣と魔法が支配する中世ファンタジーの世界において、魔法の存在感が薄くなりかねない(剣などの接近戦武器などはもはや存在空気)という可能性があるからです。
○印刷術も未発達。文書は羊皮紙に手書きで写本を作るのが基本(紙が使われるようになったのは13世紀頃からで、中世期のかなり後半です)。実際の西洋史で印刷術が開発されたのがルネサンス期なので、あっても簡易的な印刷術が存在するのみ。つまり、本は貴重品なのです。本がたくさんある家は、それだけで裕福な家である証明になります。
○船はガレー船が主流。帆船が本格的に西洋史の表舞台に登場したのは大航海時代です(原型はもっと昔からありますし、アラブや中国などではもっと昔から実用化されていましたが)。
○上流階級の女性は政略結婚が基本。恋愛結婚なんてさせてもらえません。ロミオとジュリエットです。

…とまぁ、挙げればいくらでも出てくるんですが、世界観に影響を与えやすいのはこんなところでしょうか?
と考えていくと、何やら最近はマシンガンが登場していたり、メイドが杖や剣を振り回して戦っているようなゲームが見受けられますが、明らかに時代考証から外れていますよね(汗)
もちろん「フィクションだから」「実際のヨーロッパとは違うから」と突っぱねるのは簡単ですが、それでは「実際の中世期のヨーロッパ」をモチーフにしている意味がなくなり、プレイヤーを混乱させてしまいます。
どうしてもこのような設定を使いたいなら、「なぜそんな変なものが、その世界に存在するのか?」という事を、プレイヤーに説明しなければなりません(たとえば、実は主人公は未来人で、犯罪者と銃撃戦をしている最中に中世にタイムスリップしてしまったのでマシンガンを持っているとか、メイドの姿をしているがこれはただの趣味で、実体は普通の魔法使いだとか)。
しかし、これは言ってしまえば「やらなくていい作業」を増やしている事になり(最初からそんなものが存在しなければ、そんな面倒な事をする必要はありません)、ストーリーのテンポを悪くします。
前回のお話でも軽く触れたように、テンポを維持する事は重要です。
プレイヤーは早く旅の目的を聞いて旅立ちたいのに、その前に「なんでこんなよく分からない世界なのか」という疑問を解消しなければならなくなり、ここでつまずかされてしまうと、冒険へのモチベーションが低下する事になりかねません。
世界観そのものを制作者オリジナルの異世界にしてしまえば話は別ですが、そうでなければ、題材にした「実際の世界」の世界観に準拠するのが基本です。
さもないと、作品の世界観そのものがぐだぐだになっていき「あ、この制作者は歴史を知らないな」と認識されてしまいます。
このような認識を持たれてしまうのはマイナスです。制作者への期待が薄れてしまうと、必然的に作品への期待も薄れてしまうからです。
あまり時代考証に神経質になりすぎるのも、想像力の幅を狭めてしまうのでよくはありませんが、まったく時代考証を考慮しないゲームに面白いものはあまりありません。

最近は和風っぽいRPGも流行っていますが、これにしたって同じこと。
平安時代なのか、鎌倉時代なのか、室町時代なのか、戦国時代なのか、江戸時代なのか。
時代によって全然違います。
例えば平安時代あたりのイメージなら、槍などは存在しません(主流はなぎなたです)。という事は、この時代に槍が存在するのは、おかしいという事になります(鎌倉時代以降なら存在する事もありえます)。
城なども砦に毛が生えたような簡易的なもので、姫路城や松本城に代表される、天守のある巨大な城が造営されたのはほとんどが安土桃山時代~江戸時代初期です。あんなものが平安時代や鎌倉時代にあったはずがありません。

という感じで、題材にしている時代時代の特徴を知っておく事は重要です。
また、これを知っておく事で、「この時代はこうだったからこれは存在するべきだよな(していてもおかしくないよな)」と、裏設定も作りやすくなるのです。
「中世」とか「ヨーロッパ」とか、時代や場所に題材を求める理由は、自分の想像力だけで、一から世界を作るのは大変に困難だからです。
特定の時代や場所を題材にする以上、題材にした舞台の世界観をないがしろにするというのは、おかしな事だというのを制作者は認識しておくべきだと思います。

明らかに「設定で遊んでいる」というのが分かるのであれば、問題ないんですけどね(ドラゴンクエストIIIに登場する「ジパング」は典型的な例で、あれは制作者が「いやお前、それはおかしいだろ!!」とツッコミ待ちをしているようにしか思えません(笑))。

FPLにおける時代考証
まず、RPGで比較的人気の高い銃火器はいっさい登場しません。上記の通り、中世RPGにそんなものは存在しないのが妥当という考えがあるからです。
遠距離攻撃専門武器は弓矢(クロスボウ含)以外だと(FPLには弓矢以外登場しませんけどね)、スリング、スタッフスリング、プロッドくらいでしょう。
大型のものだとカタパルトやバリスタなども入ってきますが、こんなもの持ち歩く冒険者は普通存在しないので、考えにいれる必要はありません。
剣技は若干和風っぽい名前ですが……ここまで神経質になる必要はないかなと判断し、 イメージが湧きやすい名前を付けさせていただきました^^; ただし、「侍」とか「忍術」とか「フジヤマ(笑)」とか、どう言い訳しても日本以外ないようなキーワードは使用しておりません。


時代考証無視の例外
ここまで説明したように、可能な限り時代考証は尊重されるべきなんですが、これを逸脱していてもOKな場合もあります。
ただし、やはりあらかじめ「…という裏事情があるから、これが存在するんだ」と理由を説明しておく(もしくは、後から説明する)のが一般的です。

○中世なのに機械
そもそも機械が本格的に登場してくるのは産業革命期ですから、中世期にそんなものが存在したはずがないんですね。
ただしRPGにおいては、「今(ゲーム世界で)よりもはるかに進んでいた、今はなき古代文明の名残」などという理由を付けられて、機械が登場しているというケースはよくあります。
このような時代背景を説明されていた場合は、機械の武具が存在したり、工場のようなダンジョンが存在したり、いかにもメカメカしいモンスターが出現したりしても許されます。

○現代なのに魔法
現代をイメージしている作品の場合、実際の現代と同じく、原則として魔法は存在していません。
しかし、「何者かが古代の悪魔の封印を解いてしまった時に、魔法も復活した」などといった理由により、魔法が存在するケースもあります。

このように、実際の歴史を分かっていてそれを逸脱しているのと、何も分からずに逸脱している制作者では、おのずと作品の質に差が出てくると思います。良質な作品を作るためには、歴史を考慮する事は必要不可欠な事だと覚えておきたいものです。
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